フェルミ・ガンマ線宇宙望遠鏡が1年間のサーベイで1000個以上の天体を検出
2009年10月30日発表
フェルミ・ガンマ線宇宙望遠鏡は、2008年6月10日の打ち上げ後に、2008年8月から本格的な全天ガンマ線 サーベイ観測を続けています。このたび、1年間のサーベイで得られた全天ガンマ線地図が公開されました。その地図には、
1000個以上の天体が受かっており、どの天体も1憶電子ボルト以上の高エネルギーのガンマ線を放射しています。前のガンマ線衛星では5年間で200個程度の検出であったことと比べると、フェルミ衛星の観測能力が画期的であることがわかります。
フェルミ衛星の観測主要部には、日本が開発したシリコンストリップセンサーが使われており、そのセンサーの性能のおかげで、 このような画期的な観測ができていると言えます。
1000個の天体の半数近くは、ブレーザー(Blazar)と呼ばれる天体で、銀河の中心に巨大質量ブラックホールを含み、 ブラックホール周辺部からジェットと呼ばれる高速プラズマビームが噴出し、それがちょうど視線方向に向かっているような
天体のことです。ほかには、46個のガンマ線パルサーが含まれています。パルサーは、以前のガンマ線観測では6個しか 知られていませんでしたが、フェルミ衛星によって一気に40個以上に激増しました。
フェルミ・ガンマ線宇宙望遠鏡は、今後も次々と新たな発見をしていくと期待されます。
これに関する記事は、NASAウェブサイト (Web Feature)にも掲載されています。
NASA提供グラフィックス(Credit: NASA/DOE/Fermi-LAT Collaboration)
ガンマ線天体の明るさの変動の様子(アニメーション)
アニメーションで、右側のほうで、上から下に動いている天体は太陽
フェルミ衛星によって1年間で得られた全天ガンマ線地図
(大きい画像ファイルは、こちら、あるいは、濃淡を変えたもの)