ジェットをもつ遠方銀河から、観測史上最大のガンマ線増光を検出


                         2009年12月11日発表

遠方の銀河の一部は、光速度に近い速度で動く高速プラズマ流である宇宙ジェットを出しており、それを真正面から見ていて相対論的効果で明るく輝いている天体がブレーザーである。そうしたブレーザー天体は、明るさが激しく変動しており、その変動の様子からジェットの様子を調べることができる。フェルミ宇宙ガンマ線望遠鏡は、こうした全天のブレーザーを毎日モニターし続けており、日々のデータをフェルミチームの中で当番を組んで、チェックしている。日本フェルミチームからも、広島大学とISAS/JAXAを中心に、そうした作業に参加している。

3C454.3というブレーザーは、72憶光年もの遠方にある天体であるが、9月頃から明るくなり始め、12月に入ってから急激に明るくなった。そして、一時的にガンマ線の空では最も明るい天体になったこともあり、今も明るい状態が続いている。ISAS/JAXAの田中康之研究員らは、3C454.3がガンマ線で急激に明るくなった現象を見つけ、全世界に情報を伝えて世界中の観測装置での観測を呼びかけた。日本でも、広島大学かなた可視近赤外望遠鏡、X線天文衛星すざく、赤外線天文衛星あかり、で観測を実行している他、今年打ち上げられた全天X線監視装置MAXI(国際宇宙ステーション搭載)でもモニターを続けている。

NASAウェブサイト
(Web Feature=http://www.nasa.gov/mission_pages/GLAST/news/brightest-blazar.html)
に掲載されています。

全天ガンマ線画像の様子。下の2009年11月3日の画像と比べると、左下にいる3C454.3が12月2日(上)で急激に明るくなっていることがわかる。右に見える明るい天体は、ほ座パルサー(Vela pulsar)で通常はガンマ線で最も明るい天体である。

(大きい画像は、こちら)