フェルミ衛星が私たちの住む天の川銀河の中心方向にガンマ線で光る巨大な泡を発見
                         2010年11月11日発信

フェルミ衛星は、私たちの住む天の川銀河の中心方向にガンマ線で光る巨大な泡状の構造を発見しました。 (フェルミ衛星は、広島大学をはじめとする日本が開発に大きく貢献し、平成20年6月にNASAに より打ち上げられました)。
この泡は、フェルミチームとは独立にハーバード大学を中心としたチームが、フェルミ衛星の公開データ を使って発見・公表しました。その大きさは、 私たちの銀河の上下方向に約25,000光年にもわたって広がる巨大なもので、フェルミ衛星の大きな視野が威力を 発揮しました。 解析には、フェルミチームが作り上げた銀河面からのガンマ線放射モデルも用いられており、世界の 研究者の共同作業の成果とも言えるでしょう。 こうした構造は、過去のX線衛星ROSATなどでも兆候が報告されていましたが、フェルミ衛星が今回初めてガンマ線で 発見しました。 この巨大な泡状構造から発生するガンマ線は、天の川銀河全体から発生するガンマ線に比べてエネルギーが非常に高く、 あまり古くない昔に起きた爆発的な現象が原因と考えられていますが、まだ謎に包まれています。 他の銀河で見つかっているように、我々の銀河の中心に存在する巨大質量ブラックホールから噴き出た 高速プラズマビーム(ジェット)によるものなのか、あるいは、重い星が集団的に生まれた結果生じる 高エネルギー粒子の流れが残っているかなどの可能性が考えられます。

関連した記事がNASAウェブサイト (Web Feature)に掲載されています。


左がフェルミ衛星がとらえた天の川銀河に付随するガンマ線で光る巨大な泡。上下方向に広がったガンマ線が見える(credit:NASA/DOE/Fermi LAT/D. Finkbeiner et al. )。右はイラストで泡の様子を表したもの。(Credit:NASA's Goddard Space Flight Center)。