重力波を伴う中性子星同士の合体に対する高エネルギーガンマ線観測
2017年10月25日発信
重力波信号GW170817が初めての中性子星同士の合体からの信号であることがLIGO/VIRGOチームから発表されました。 さらに、重力波に伴い、フェルミ衛星GBM検出器など軟ガンマ線(ガンマ線のエネルギーは数万電子ボルトから数100万電子ボルト)を検出し、これまで多く観測されてきたショート・ガンマ線バーストと呼ばれる現象と似ていたことから、ショート・ガンマ線バーストは中性子星同士の合体であることが示されました。フェルミ衛星LAT検出器は、この重力波が検出されたときは、粒子バックグラウンドの多いところを通過中で観測していなかったため、残念ながら数千万電子ボルト以上の高エネルギーガンマ線が重力波に伴って放出されていたかどうかわかりませんでした。ただし、重力波検出後、約1000-2000秒の後に重力波発生方向を観測し、有意な高エネルギーガンマ線信号を検出しませんでした。これについて、フェルミ衛星LATチームはプレプリント報告しました。今後の重力波信号に伴うフェルミ衛星LAT検出器の高エネルギーガンマ線検出が期待され、重力波発生天体について情報が深まることでしょう。
プレプリントはこちら
(注1)
フェルミ衛星にはLAT検出器とGBM検出器という2種類の検出器が搭載され、独立のチームによってデータ解析・成果発表が行われています。日本フェルミ
衛星グループはLATチームに所属します。