研究紹介
我々のグループは、宇宙X線ガンマ線衛星による観測と広島大学設置の1.5m可視光近赤外望遠鏡による観測を組み合わせて、国内の研究機関の中では初めての本格的な多波長観測体制によって、宇宙における高エネルギー現象の解明を目指している。
近年の宇宙観測により、宇宙というものは今まで考えられていた以上に非常に高エネルギー現象に満ちあふれていることがわかってきた。星や銀河が静々と存在しているだけでなく、重力落下あるいは天体の衝突によって加熱加速が至るところで起こっているのである。言い換えれば、宇宙の至るところに地上では実現できないような巨大な加熱器あるいは加速器が存在する(銀河中のブラックホール、中性子星およびパルサー、超新星残骸、活動銀河核、銀河団、ガンマ線バーストなど)。こうした高エネルギー現象を観測することによって、宇宙のダイナミックな部分をクローズアップして宇宙の進化や構造形成に迫ったり、地上で実現できない高エネルギー物理現象の観察をすることができるのである。特に高エネルギー天体の突発的な現象を可視光近赤外観測によって同時に探ることにより、より深い情報が得られる。
これらのために、国内外の研究機関や研究者と深く連携をとりながら、ガンマ線、X線、可視光に関する各種観測装置の開発や観測実行を行い、研究を進めている。