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低エネルギーガンマ線検出用シリコンストリップの開発

本年度は両面SSDをVA32TAとワイヤボンディングして読み出してみた. 読みだし回路VA32TAは,外から与えるフラグによって,各回路のバイアス電流や フィードバック素子の値を調整できる. そこで,今回試作した両面SSDに対して最適な回路状態にするための電流値 を探して,その状態を得た. こうした状態で得た最も良いエネルギー分解能の状態でのp側の全ch加算スペク トルを図3に示す.$^{57}$Coの122keV, 136keVの2つ がくっきり分かれているだけでなく,周囲の鉛から出たPb-KのK$\alpha _1$, K$\alpha _2$ (75.0, 72.8keV)の2つまでもがはっきり分離しているのがわかる. エネルギー分解能は122keVで1.3keVを達成した.これは片面SSDを読み出したと きと比べて遜色ない値であり,非常にうまく読み出せていることを示す.

また,DSSDで光電吸収されたにもかかわらず,電荷が隣のチャンネルにまで洩れ 出して信号出力されるスプリットイベントの割合も調べたが,122keVで5%以下となり, 特に問題となるレベルではないことがわかった。また,一様にガンマ線を当てた ときの各ストリップの反応率は,ほぼ同じになり,フラットイメージが得られることも 確かめた。

図 3: 両面SSDをVA32TAで読みだしたときの$^{57}$Coに対する エネルギースペクトル。122,136keV,14keVのライン以外にも,コリメータの Pb-K$\alpha _1$,K$\alpha _2$(73,75keV)が分かれて見える.
\includegraphics[width=8cm]{dssdnakamoto.eps}



Yasushi Fukazawa 平成16年4月6日