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将来に向けた検出器の開発

(1) 天体観測用シリコンストリップ検出器の開発

GLASTで開発を行なってきたシリコンストリップを応用して、多重コンプトン 検出器あるいは位置検出型硬X線検出器としてシリコンストリップを用いる 試みを進めている。 これは、広島大学、相原研、宇宙研とともに開発を進めている。 本年度は0.5mm厚のものを開発し、ノイズを測定し、1mm厚の開発に向けた データを取得した。 また、多チャンネル読み出し回路の開発も行なっている。 シリコンストリップは、浜松ホトニクスで作ってもらっている。

(2) GSOを用いた検出器の開発

AstroE-HXDのために新しい無機シンチレータ結晶GSO(Ce)を開発してきたが、 それを延長する形で、将来計画に向けた開発を行なった。 具体的には、GSOにドープするCeの割合をいろいろ変化させてみて、光量が どのように変化するかを調べている。 GSOのγ線のエネルギー分解能は、標準的に使われているNaI(Tl)を 越えており、リニアリティはNaIと違って良いこと、阻止能が大きいこと、など が特徴であり、今後多くの場所で使われると思われる。 GSOは信越化学(材料)と日立化成(結晶化)と共同で開発を行なっている。

このGSOの性能を生かすため、GSOを光電子増倍管よりも量子効率が高い シリコンフォトダイオードで読み出す試みを進めており、1MeV以上で 光電子増倍管で読み出すよりも優れた性能を示すため、将来のMeV領域の 検出器になる可能性がある。 本年度は、フォトダイオードに光ができるだけ入るように電極構造を工夫したり、 フォトダイオードとGSOをアレイ化してエネルギー分解能を良くする試みを 行なった。 シリコンダイオードは浜松ホトニクスと共同で開発を行なっている。

この他、浜松ホトニクスの量子効率が普通より高い光電子増倍管や メタルパッケージの小型位置感度型光電子増倍管とGSOを組み合わせて 100keV付近を狙った低γ線検出器の開発も試みている。



Yasushi Fukazawa
2000-08-03