銀河群は狭い領域に数個〜数10個の銀河が密集した天体で, X線でのみ観測できる温度 Kの高温ガスが存在する. 高温ガスは銀河群の重力ポテンシャルによって閉じ込められており、 ガスの分布の様子がわかれば、重力ポテンシャルの構造を求めることができ るので、X線観測によって銀河群に伴うダークマターの情報が引き出せる。
今回我々は、Chandra衛星の観測データを用いて、銀河群のガス分布 を調べた。 解析の結果、多くの銀河群でガスの分布が2つの成分で表されることがわかっ た。 中心銀河に関係する重力ポテンシャルと銀河群自体の重力ポテンシャルの重ね合 わせであると思われる. 高温ガスの温度も中心に向かって減少することがわかったが,それは本当に減少 しているのか,あるいは低温と高温のガスが共存しているためであるか,区別で きていない. 解析の結果,温度が単調に中心に向かって下がる場合には非物理的な重力質量分 布が得られてしまう. 一方,温度の違う2成分のプラズマが共存しているとした仮定した場合には, 正常な重力質量分布が得られることがわかり. 温度の違う2成分のプラズマが共存しているらしい可能性を指摘した.