銀河面には典型的に NH = 1023cm-2 の星間物質が存在する。 この物質を通して系内X線天体の population を知るためには、 吸収の影響を受けにくい硬X線での探査を行なうことが必要である。 また、正体を解明していく上では、十分な位置分解能も欠かせない。 我々は、2keV以上の硬X線に感度を持ち位置決定精度が24秒ほどである 望遠鏡を搭載した「あすか」を用いて銀河面からの 微弱なX線源の探査を行なっている。
現在、 宇宙研、岩手大、京大、大阪大、都立大とともに「あすか」により 銀河面をサーベイするプロジェクト観測が行なわれている。 96 年の観測領域 ( 342<l<16,|b|<0.3) に対して、これまで 点源の探査が進んでいる。 Total (0.7-7 keV)、Soft (0.7-2 keV)、Hard (2-10 keV) の 3 つのエネルギーバンドを合わせて合計 58 個の 点源がで検出された。 これらのエネルギーバンド別の強度比から天体の温度、吸収量を見積もった。 「あすか」で初めて観測が可能となった天体の多くは温度が低く(<3keV)、 そのうち吸収量の大きい天体は電波で既に発見されている 超新星残骸であることがわかったので、これらの超新星残骸を X 線領域において初めて検出したことになる。 一方、温度が高い(>3keV)あるいは非熱的な放射をしている天体のほとんどは 既知の天体では同定されず、今後の解析が期待される。