GLASTのガンマ線検出器の生のデータは、加速器実験と同じように非常に複雑であ るので、検出器の動作を正確に理解しなければ、正しいデータ解析を行なうことが できない。我々は、加速器実験を通じて培ってきた検出器シミュレーターツール Geant4(C++言語で書かれたオブジェクト指向ソフト)を用いて、 GLASTの検出器のシミュレーターを構築することとなった。 本年度は気球実験に使われる1/16モデルのシミュレーターを構築し、基礎物理過程 を考慮しながらデバッグし、昨年行なわれた加速器ビーム試験のデータとシミュレー ションデータを比較しながら、シミュレーターのパラメータを調整する作業を 行なった。
また、ガンマ線観測ではバックグラウンドの差し引きが重要であるが、そのために 我々はバックグラウンド源の主成分である宇宙線のフラックスを予想するプログラ ムを作り始めた。本年度は、宇宙線陽子と電子についてのモデルを構築し、気球実 験の検出器シミュレーターにシミュレートした宇宙線を入力して、気球実験での バックグラウンドの評価を始めた。