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気球実験と宇宙線バックグラウンドモデルの開発

GLASTに用いられる検出器のデバイスは、これまで宇宙環境で動作させた実績があ まりない。 また、GLASTの高感度を実現するには、上空でのバックグラウンドを理解する必要 がある。 これらのため、GLASTの1/16に相当するモデルを気球に載せて打ち上げてデータ収 集する実験が2001年8月にアメリカのテキサス州パルスチンで行なわれた。 気球実験には一部の検出器の用意・動作試験・データ収集などの面で広島大学も参 加し(図?)、解析に十分なイベントが得られ、装置も問題なく動作することが 確認された。

気球実験で得られたデータを用いて我々は上空でのバックグラウンドのスタディを 行なった。 バックグラウンドの主成分は一次宇宙線と大気でできる2次宇宙線である。 昨年から開発を進めてきた宇宙線陽子と電子のモデルに加え、本年度は ガンマ線、陽電子、ミューオン、α線のモデルを新たに用意した。 モデルは過去の気球実験などのデータに基づいて構築し、 地磁気や太陽活動の影響も考慮した。 この宇宙線モデルに従って発生される粒子を、前の節で説明した気球実験のジオメ トリに入射させてシミュレーションデータを作り、実験データと比較することで、 バックグラウンドモデルを評価した。 現在のところ、トリガーレートを10%以内で再現できるところまで行っており、現 在は宇宙線の角度分布を制限する試みを行なっている。 本研究は、水嶋の修士論文としてまとめられた。

図 0.1.3: 2001年8月に行なわれたGLAST気球実験
\begin{figure}\begin{center}
\epsfxsize =9.5cm
\vspace{3cm}
\centerline{\epsfbox{glast-balloon.PS}}\end{center}\end{figure}



Yasushi Fukazawa 平成14年5月25日