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銀河面付随のガンマ線放射の数値計算

以前から、銀河面に沿って広がったガンマ線放射が存在することが知られていた。 この放射は、宇宙線と星間物質との相互作用で発生していると考えられ、宇宙線や 星間物質の研究に役立つ。 特に宇宙線陽子を直接観測することができるのは、ガンマ線のみであり、非常に重 要な研究と言える。 我々は、GLASTの打ち上げ後のデータ解析に備え、銀河面に沿って広がった ガンマ線放射をモデル化する試みを行なった。 具体的には、Webで公開されているGALPROPというツールを用いて行なった。 GALPROPは、過去の観測データに基づいて、星間物質の分布を用意し、ある仮定の 下で宇宙線を用意し、それを星間空間での空間的エネルギー的伝搬方程式を解くこ とによって、現在の宇宙線分布を求め、ガンマ線放射を再現するものである。

本年度はこのツールの出力が伝搬方程式にきちんと従うことを実際に確認し、 応用例としてダークマターを銀河に付随させたときに、どれくらいのガンマ線が 発生するかを計算してみた。 その結果、荒っぽい仮定のもとではダークマターからのガンマ線は、それほどないこと がわかったが、用いた仮定の精度をさらに上げる必要がある。 本研究は山中の修士論文としてまとめられた。



Yasushi Fukazawa 平成14年5月25日