HXDの周囲はBGO結晶でアクティブシールドされているが、このBGOの表面積は 非常に大きいため、それ自体が優れた観測装置(Anti検出器)となり、 ガンマ線バースト、ブラックホールなどの観測 を行なうことができる。 これらの天体を常時モニターすることができる点は、GLAST衛星とよく似ており、 我々の研究室は将来的には両者を連携させたユニークな観測を目指している。
本年度は、信号処理部を改良して、ガンマ線バーストをより効果的に観測で きるように実際のフライト回路の設計を固める作業を理研とともに行なった。 前年度に検討した回路をフライト相当回路として試作し,実際に試験を行ない, 回路パラメータの追い込みを行なった.また,信号の干渉などにも細かい注意を 払った. また,上空でのガンマ線バックグラウンドの理解は,実際の観測データの解析の ときに重要であり,そのために,本年度はバックグラウンドの主成分である 放射化成分(宇宙線によって放射化された検出器自体から出るガンマ線)について, 検出器を実際にプロトンビームに当てて,調べた。実験は,阪大と理研の2つで 行ない,得られたデータをもとに,各放射性同位体の生成反応断面積を文献値と 求め,上空のSAA中のプロトンスペクトルと合わせることにより,放射平衡下で のバックグラウンドのモデル化を進めた(図1)。 これについて,川添が修士論文としてまとめた。