銀河の中のある種のものは,中心部が非常に明るく,活動銀河核(AGN)と呼ばれ ており,銀河中心に存在する巨大質量のブラックホールであると考えられている. 近傍銀河のAGNの多くはSeyfert銀河と呼ばれており, Seyfert銀河からは強いpowerlaw型のX線スペクトルが放射されているが, その中に鉄ライン,鉄の吸収端,そして反射成分が観測されている. こうした構造は,AGNの周辺物質によって生じており,その物理的状態あるいは ブラックホール周辺の時空構造を調べるプローブとなる. 本年度は,XMM-Newton衛星とBeppoSAX衛星のデータを用いて,上の構造について, いくつかのSeyfert銀河のX線スペクトルを調べた. その結果,Seyfert 1型銀河については, 反射成分と吸収端は相関する傾向が見られ,AGNによって反射体の密 度が異なる可能性が出てきた. また鉄の吸収端のエネルギーから鉄の電離度がわかり,中心からのX線光度と比 較することにより,吸収物質の中心からの距離の情報が得られるが,解析した AGNごとに距離がばらついている兆候も見られた. Seyfert 2型銀河 Mrk1210 についても反射成分の存在が示され,反射成分は Seyfert 1型と2型で共通な成分であることが示唆される.