本年度は、64chPMTやAPDアレイを読み出すものとして、放射線計測用多チャンネ ル低ノイズ読み出しLSIの開発を宇宙研の協力のもと進めている。 こうしたLSIは、VAチップというIDEAS社のものが広く使われているが、なかなか 自分たちの仕様に合ったものを作ってもらうのが大変であり、またブラックボッ クスになりがちであるので、できれば自分たちで開発を進めたい。そこで、 宇宙研・KEKが中心になって進めているプロジェクトの一環に参加し、 K02-LSIの開発を行った。 回路設計、シミュレーションを行い、レイアウトとチップ製作を企業に依頼して 試作した(図5)。 K02には、PZC、ゲイン可変シェーパー、P/H、コンパレータ一式が32ch入っており、 本年度は試作したLSIの動作確認、および、8chPMTの読み出しを行った。 その結果、ほぼ仕様を満たしていることがわかり、8chPMTを読み出して、 ガンマ線の位置計測を行うことができた。 本研究は木原の修士論文としてまとめられた。 また、チップ上にMOS回路をレイアウトする作業も、 企業に任せずに自分達で行なうことによって,より細かい仕様まで注意して設計 できるため,工学部の磐田研究室の協力を得ながら、レイアウト作業を進め始めた.